現存する国内唯一の寝台列車、サンライズ出雲・瀬戸。
定期列車でも充分に魅力的な旅を楽しむことができますが、最長でもサンライズ出雲の12時間が限度です。
が。
年に数日、片道15時間かかるサンライズ出雲が現れます。
それがサンライズ出雲91号・92号であります。
2021年4月30日。
21時半すぎに東京駅へ現れたあたくし。
酒・つまみの類は既に携行しておりますが、東京駅で氷を買って定期サンライズを見送ってから10分後。
8番線に高松行がついていない出雲市行だけのサンライズ出雲、つまり半ライズ出雲がやってきました。
今回とりましたのがシングルツイン。
基本1人利用ですが、2段ベッドなので2人でも使えるという部屋です。
ただし、車端に近いので中央部よりは揺れる可能性が否定できません。
ですが、そんな事はどうでもよろしく、東京駅停車中に下段のベッドをソファに仕様変更。
下でひとり宴会やって上のベッドで寝ようという意図がありありと。
でまあ、列車は定刻に東京駅を発車。
自動放送がながれ
「この列車は、サンライズ出雲、およびサンライズ瀬戸」
という大嘘がながれて
「をい、あと半分どした!」
一応東京都は緊急事態宣言下ですから多摩川を渡るまでは景色を眺めておったのですが、多摩川橋梁にさしかかった途端にウイスキーの瓶を握り
「3!」
「2!」
「1!」
「さよなら東京!開栓!」
サントリーのポケット瓶なので、基本そんなに旨い酒ではないはずなんですが。
氷を入れた備前焼のタンブラーに酒をながしてレモン風味のついた強炭酸で割ると、スイスイいけます。
横浜ではそこに立っていた人に
「うぇーい」
とやったら冷たい視線がきたのではなく、エア乾杯してくれました。
かくして動く景色を肴に至福の晩酌。
大船で一本目のウイスキーが空きます。
そこで藤沢からは、徳島のすだち焼酎。
こちらは通常の炭酸で割って呑んでおりましたが、軽やかでさわやかな味わい。
小田原を過ぎますと沿線の家並も遠のき、代わりに相模湾が現れます。
ほぼ満月が照らす、23時台後半の相模湾。
酔ってますから、暗闇という条件下で景色を撮影という無謀なことも平気でできてしまいます。
夜の海を照らす様子は撮影できたと思うとります。
ウイスキー480mlと焼酎720mlの計1.2リッター入った状態でやったにしては、まともな画になりました。
が。
あたくしは熱海に到着した覚えも、発車した覚えもありません。
気が付いたときには上段のベッドで朝を迎えており、列車は大阪の高槻あたりを走っておりました。
華麗なる寝落ちでありました。
朝の大阪、そして神戸と抜けて山陽線最大のお楽しみは、やはり明石海峡大橋。
適度によっぱらって深く眠っておりますから目覚めもスッキリ。
実に爽やかな朝であります。
[次回へ続く]